正座すると何故しびれる?意外な疾患も併せてご紹介

2025/04/30
横浜市中区元町にある整体/整骨院壱番館が足のしびれと腰痛と坐骨神経について解説

正座で足がしびれた時

体の中では何が起こっている?

 

横浜市中区にある整体整骨院壱番館から

皆様に有益な情報を発信していきます。

今回のテーマは「足がしびれる」

一口に足が痺れると言ってもいろいろな捉え方があると思います。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など整形外科的疾患でも足はしびれます。また、脱水症状など熱中症でも足がしびれることがあります。そででもまず、「足が痺れる」ということで思い浮かぶ姿勢は「正座」ですよね。今でこそ法事などで正座をする機会も減ってきているとはいうものの正座をすると足が痺れるという昔からの定番ですよね。

正座をしていたら足がしびれてきた。では、その時体の中ではいったい何が起きているのでしょうか。そのメカニズムを紐解いていけばもしかすると坐骨神経痛や頸肩腕症候群など「痺れ」を伴うことのある症状の軽減や解決の糸口になるかもしれません。

では実際、足がしびれる原因を見ていきましょう。

 

 

 

1.足が痺れる原因

 

まずは、正座をした時の姿勢を思い浮かべてみましょう。

膝を曲げるだけ曲げた上にそこから上に体重をかけます。

もうその時点ですでに拷問ですね笑

その状態をじょうきょうによっては何分、何十分、何時間とキープするわけですからそもそも「正座」という姿勢自体があまり良くありません。

この正座の状態が続くと・・・

1.下半身の主要な動脈が正座の状態が長く続くことによって圧迫されます。圧迫された組織は血流が著しく低下します。動脈は本体酸素をふんだんに含んだ血液ですので、その動脈血が各組織に行き渡らない状態が発生(酸欠)

2.各組織が酸素が運ばれず酸欠を起こしたことで虚血状態に陥ります。その異常を察知して脳に信号を発信この場合のしびれの神経伝達はチクチクとした細かいしびれとジンジンした比較的大まかなしびれの2種類あると言われています。(神経繊維の種類)このしびれを出すことで組織の血流が途切れて壊死を起こさないために警告を出していたこれこそが痺れの正体であります。

3.結果、正座の場合しばらくその状態をキープすることで、やがて感覚が消失していきます。経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。この時点では感覚もさることながら筋力も失った状態になります。要するに力を入れることが難しくなっています。この時に点灯しない様に気をつけないといけません。

 

この様な流れがしびれのメカニズムです。

(諸説あり文献によってこの様に書かれていない場合もありますので参考程度にとどめておいてください)

この場合の主要な動脈というのは主に

後脛骨動脈・足背動脈・膝窩動脈のことを指します

痺れた範囲が太ももやお尻に及ぶ場合は、上殿動脈、下殿動脈、長骨動脈や大腿動脈などの圧迫も考えられます。

正座でのしびれの他にお手洗いに行って便座に座っている時やあぐらをかいた時など日常生活動作のふとした時にしびれが起きる可能性が潜んでいます。

 

✅血流障害によるリスク

少し大袈裟に書いてしまったかもしれませんが、多くの場合正座を崩すと血流も回復してしびれも徐々に減っていきます。その時間はまちまちですが5-15分程度と言われています。

とはいうものの、治るものだから我慢し続けるというのもこれまたおかしな話です。体が我慢できなくなるとは思いますが、もし我慢し続けたら体はどうなるのか。いわゆる血流障害が起きます。血流が悪くなることで起きる疾患もあります。正座を少ししたくらいではなることは少ないと思いますが参考までにご紹介しておきます。

 

☑️コンパートメント症候群

コンパートメント症候群とは筋膜の区域内における組織にかかる圧力があがりすぎたことにより組織の虚血をきたすことです。初期の症状はケガの程度に釣り合わない痛みが発生します。確定診断をする場合はコンパートメント内圧の測定で確定されます。治療は筋膜切開による組織内の減張切開をおこないます。

コンパートメント症候群が疑われる場合5P徴候に着目します。

5P徴候とは

・pallor(蒼白)

・pain out of proportion(強い痛み)

・pulseless(脈拍消失)

・paresthesia(知覚鈍麻)

・paralysis(麻痺)のことを指します。

元に戻らなくなることを、医学的に、「不可逆性」などと言いますが、血液が届かなくなってから、筋肉の場合には4~12時間、神経の場合には12時間で、不可逆性となります。 これがコンパートメント症候群です。

 

☑️横紋筋融解症

コンパートメント症候群に続発して起こることが多く、対象の筋肉が壊死してしまいます。壊死ということだけでも大変厄介なのですが一番危険なのは壊死した筋肉中の成分(ミオグロビン蛋白)が血中に流れ出し、腎臓に負担をかけ急性腎不全を発症することがあります。これは命に関わることもあるため十二分に注意が必要です。

 

☑️下肢静脈血栓症

エコノミー症候群と言われるとピンとくる方も多いかもしれません。

通常、静脈血栓症だけであれば下肢のむくみや痛みが起こる(これだけでも嫌ですが)だけですがその血栓がはがれて肺に飛んでいくことがあります。肺塞栓を起こせば命に関わる重篤な疾患になる場合があるのでこちらも十二分に注意が必要です。

 

 

 

2.他疾患も隠れている

場合もあるので注意

 

足のしびれと一言でいっても、その原因は人によってさまざまです。正座した時や寝ている時に腕枕をした際に起きる一時的なしびれもあれば、糖尿病などの疾患が隠れている場合もあります。代表的なしびれの原因を以下で紹介していきます。

☑️神経圧迫によるもの・・・

身体中を張り巡らされている神経が何かの原因で圧迫され、発生するしびれもあります。

神経には大きく分けて2種類あり、足にしびれを感じた際は、脊髄などの中枢神経に異常が起きている場合と、神経根や足にある末梢神経に異常が起きている場合が考えられます。代表的な疾患としては腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが挙げられます。

☑️栄養の欠乏によるもの・・・

ビタミンB群の欠乏よって末梢神経に障害が起き、しびれが出ることがあります。

例えば、ビタミンB1は、糖の代謝に影響するビタミンです。食事が炭水化物や糖類に偏ると不足しやすく、不足すると「手足がしびれる」「力が入りにくい」といった症状が起きることもあります。

また、肉・魚・卵などを摂らない食生活がメインだと、ビタミンB12が不足しがちになります。ビタミンB12が不足すると、貧血が起こりやすくなります。

また、赤血球の形成やDNAの合成に関わる「葉酸」は、ビタミンB12と協力して体内で働きます。葉酸が欠乏した場合も、ビタミンB12が欠乏したときと同じように貧血などの症状が出るため、注意が必要です。

加えて、ビタミンB6は、血液や中枢神経系、皮膚の代謝や、タンパク質や炭水化物、脂質などの代謝を助ける酵素として働くとともに、神経伝達物質の生合成を行っています。魚類やレバーに多く含まれており、欠乏すると末梢神経障害が引き起こされます。

同様の症状はびたみんB群だけでなくビタミンEの不足でも起こることがわかっています。

☑️関節や軟部組織のケガ・・・

ケガなどで骨や関節、軟部組織に不具合が起こりしびれが出ることもあります。これは怪我によって発生した炎症や内出血し、その貯留物が組織内に貯留することで神経を圧迫します。上述したコンパートメント症候群はまさに典型的です。また、リウマチや痛風など、関節に障害が起こりやすい病気も、足のしびれの一因になります。

☑️脳血管障害や糖尿病などの疾患によるもの・・・

脳血管障害や糖尿病といった重大な疾患が潜んでいる場合もあります。糖尿病の場合末梢神経に障害が起きて、しびれや痛みが発生します。また脳血管障害でも代表的な初期症状としてしびれや痛みを伴います。脳卒中はあっという間に進行しますので治療の緊急性が高い病気です。おかしいなと思った場合はすぐに救急車を呼んでください。

原因がわからない場合も・・・

足のしびれで悩んでいる方の中には、詳しく検査してもしびれの原因がわからないという人もいらっしゃいます。そういった症例では、ウイルスや細菌の感染、ストレスなどがしびれの原因となる場合もあります。

 

 

 

3.神経麻痺にも気をつけよう

 

しびれの原因が血管を圧迫したことによる血流障害であるということはなにも足だけでなく腕や手にもしびれが出ることがあります。ハネムーン症候群、サタデーナイト症候群と呼ばれる橈骨神経麻痺の一種など同じ姿勢を長時間することで起きる神経麻痺もあることを覚えておきましょう。足の場合だと腓骨神経や脛骨神経を圧迫することがあります。その際に「下垂足」、「回外足」、など下肢の神経障害が起こることがあります。これらの症状が出るとすぐ良くなると思いがちですがしびれが収まるまで何ヶ月と時間を要するため甘く見るのは禁物です。

 

 

4.さいごに

 

足がしびれる原理が上述した様に筋肉の圧迫による血流の遮断であれば坐骨神経痛のような症状が出ることも理論的にはあると考えています。正座をすると足がしびれるという一見整体とはあまり関係のないテーマかもしれませんが、原理を紐解いてみると意外と坐骨神経痛に関係している可能性もあるので看過できません。

正座をして足がしびれたときに患部を優しくほぐし1カ所に圧迫力が加わらない様に分散させることが大事です。

坐骨神経痛の様な症状や腰痛が出ている方に足がしびれている時の感じをお聞きすると全員ではありませんがかなりの確率で「正座をしていてしびれた時の様」とお答えする方が多いです。これは神経繊維が腰から足のどこかで圧迫を受けてその組織の血流が悪くなっているのではないかと考えることもできますね。これは施術にも応用できると考えています。要するに酸欠状態を解決してあげればいいのです。日常の生活の中で起こり得る様々なトラブルも深掘りしていけば解決の糸口が見つかるケースも多いです。もちろん足のしびれはこれ以外の原因からも来ている可能性があるので決めつけるということは絶対にしませんが可能性の一つとして我々整体/整骨院の施術でもなにかお役に立てることがあるのかもしれません。そう願って日々研鑽し続けようと思います。